HOUSE、TECHNOをはじめダンスミュージック全般のDJに絶大な人気を誇るPCDJソフト「TRAKTOR」。そんなTRAKTOR専用PCDJコントローラー、TRAKTOR KONTROL S2MK2とS4MK2を徹底比較!
「S2 MK2とS4 MK2ってチャンネル数が違うだけでしょ?」答え=全然違います。
DJ機器や作曲機材で有名なNATIVE INSTRUMENTS社のDJコントローラーTRAKTOR KONTROL S2 MK2、S4 MK2。
見た目もそんなに変わらないし、チャンネル数(同時に何曲再生できるか)が違うだけなんじゃないの?って思われている方も多いかも知れませんが・・・実はかなり違うんです!!
ここでは意外と知られていないS2 MK2とS4 MK2の違いをじっくり比較していきます。
S2で出来ないことがS4で出来ちゃう。S2でもいろいろ出来ちゃうけど、S4はもっと出来ちゃう。
まず、S2・S4はランクでいえばS4の方が上です。
S2で操作出来てS4で操作出来ない機能はありません。
それでは“S4でしか出来ない機能はなにか”を挙げていきます。
TRAKTOR KONTROL S4MK2のみに対応している機能
・4チャンネル搭載
・フィルターノブ搭載
・STEMS対応
・ループレコーダーコントロール搭載
・MIDIインアウト搭載
・オーディオインプット搭載 タンテを繋げばDVSも可能
・ボタン、つまみの量が多い
といった違いがあります。これらは逆を言えばS2 MK2では非対応なんです。
「なんだよ!全然違うじゃないか!」そうなんです。
ただ、分からない言葉が多くて分かりづらい部分もあると思うので一つずつ説明していきます!
「4チャンネル搭載」とは?
○○チャンネルミキサーとは何か??
簡単に言いますと
「何曲同時に流せるか」です。
4チャンネルミキサーは単純に4曲同時に再生することができます。
でも4曲も一緒に流したらグチャグチャしそうですよね。
チャンネル数が多いというポイントは、実はハウスやテクノDJに愛される理由の1つでもあります。
ハウスやテクノのDJで高度なプレイにあたりますが、
各楽器をバラバラにチャンネルに振り分けて再生し、楽器ずつ抜き差ししながらMIXしていくというプレイスタイルがあります。
例えばキックだけの音(曲)をループ再生し、CH1で再生します。
「ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、」がずーっとループして再生されている状態です。
続いてラテンパーカッションのループをCH2で再生します。
「チャカチャカチャカチャカ、チャカチャカチャカチャカ、」という音のループです。
CH2のボリュームフェーダーを上げ下げすると、キックの音はそのままに、パーカッションの音だけ出したりなくしたりできますよね。
その上にピアノロールのループ・・・といった感じで、各楽器のループ素材をテンポを合わせてそれぞれのチャンネルに振って再生することで、4つのチャンネルを使って1曲再生するイメージになります。
そして各楽器それぞれの音量や音域調整をバラバラにできるんですね。
通常DJは「曲から曲へMIX」するというイメージがありますが、こういったプレイは
じわじわと長い1曲を作り上げていくようなイメージでDJプレイをすることができます。
PCDJが普及する前はターンテーブルやCDJを3〜4台使うという、機材費だけでもウン十万円してしまうようなセッティングが、S4ならパソコン1台とで実現できてしまいます。
そんなわけでS4はハウス、テクノDJにとにかく人気のあるコントローラーなんです。
「フィルターノブ搭載」とは?
DJプレイを見たことがある方は分かると思います。
特にハウスやテクノでは多用されるエフェクトの一種ですね。
音をモコモコこもったような音にしたり、低音を切って音を突き抜かせるような効果を与えられる、あのつまみです!
実はあのつまみ、S2にはついていないんです。
エフェクターとしてはついていますが、EQのすぐ下にあることで、直感操作が可能に。
ここだ!と思ったときに使用してフロアを煽ることが可能です。
「STEMS対応」とは?
STEMSとはNATIVE INSTRUMENTS社が独自開発した画期的なオーディオフォーマットです。
普通のオーディオフォーマットは楽曲の各パート(ヴォーカルやドラム、シンセなど)が全て統合された形になっています。
なので、シンセの音だけ100%無くしてしまうということはできませんよね。
しかし、STEMSフォーマットは各パートが全てバラバラに収録された状態で販売されているのです。
つまり、
DJ中にヴォーカルの部分だけを流したり、ドラムを抜いたりなどが自由自在にできるのです!!
STEMSフォーマットの曲は大手配信サイトでも販売されており、自分で作った曲をSTEMS化することもできます。
S4は、この画期的なオーディオフォーマットに対応していることにより、これまで不可能だったDJ MIXが可能となります。
先に書いた4チャンネル仕様が存分に活きる、まさにターゲットとなるユーザーを計算し尽くしたコントローラーなんですね。
「ループレコーダーコントロール搭載」とは?
4チャンネルMIX同様、使いこなすのは少し高度でセンスが問われる機能ですが、トラックやオーディオソースからすぐにループレコーディングを行えるという機能です。
つまり、
曲の中で気に入った部分のループを即時に保存でき、それをループ素材のようにループして使うことができるという機能です。この
“瞬時に”というところが肝!
さらにREMIX DECK(※)にインポートすることもできます!
REMIX DECKに取り込んだ素材だけを重ねて再生したり、通常の曲に合わせて上に乗せて再生したり・・・。
簡単に説明すると、DJプレイ中に思いついた音作りをその場で作り上げて実現してしまうことができるということなんですね。
普通のDJ MIXに慣れたとき、ステップアップできるかどうかが機材によって左右されるとすれば、迷わずS4ではないでしょうか?
※REMIX DECK・・・ループ素材やワンショット音源をDJが即興で演奏できる機能
「MIDIイン・アウト搭載」とは?
MIDI端子とはハードシンセなどについている端子で、複数のシンセ同士と同期させたりするためにつくられたものです。
S4にはこのMIDI端子が搭載されているので、
シンセサイザーやMASCHINE(NATIVE INSTRUMENTS社のパッドコントローラー)などと同期させることができます。
つまり、拡張性がかなり高い!!ということ。
S4だけでは成し得ないようなプレイも可能になります。
オーディオインプット搭載。タンテを繋げばDVSも可能!
S4には二つのオーディオインインプットが搭載されています。
なので、既にターンテーブルやCDJを持っている方は、S4をDJミキサーとして使用することができます。
さらにDVS(タンテやCDJでPCDJを操作できる)にも対応しています!!これスゴイこと!!
★DVSについて詳しくはコチラ。
DVSは普通、インターフェース内蔵のデジタルミキサーか、別途インターフェースを購入しないとできない機能ですが、S4にはそれが内蔵されているのです!
タンテでスクラッチにも興味が・・・って方にもS4ならDVSができる(ターンテーブルとコントロールバイナル、TRAKTOR SCRATCHライセンスが別途必要になります)ので拡張性がありオススメです!
ボタンや、つまみの量が圧倒的に多い!
S2のボタンとつまみの総数は67個、対してS4は106個!(笑)
ボタンやつまみが少ないとどうなのかと言いますと、
「ここを操作するつまみがコントローラーに無い!からパソコンを直接触って操作しなきゃ!」
ってなるんです。
高額DJコントローラーと安価なコントローラーの一番の違いはココです。
高くなればなるほど大体サイズ感も大きくなっていくので操作パネルが広くなり、操作しやすくなる!ということではあるのですが、もう少し細かく言えばその分ボタンなどは増え、操作できる項目が増えるということになります。
大きすぎても持ち運びに困りますので、とにかく持ち運びをされるという方は、ある程度機能を犠牲にしてコンパクトなものを選ぶという選び方もあります。一長一短ですね!
S2、S4に付属されるDJソフト「TRAKTOR」と、DDJ-SB2などに付属される「serato DJ INTRO」の違い
DDJ-SB2などエントリーモデルに付属されるserato DJ INTROは機能制限があり、必要最低限の機能しか搭載されていません。
それはそれである意味シンプルですし、小難しいこと無くDJを楽しめるのでいいのですが、S2やS4には
機能制限の無いフルバージョンのTRAKTOR PRO 2が最初から付いてきます。
TRAKTOR PRO 2とseraton DJ INTROの違い
エントリーモデルとして人気な4機種、"S2","S4","DDJ-SB2","DDJ-RB"の対応ソフトウェア
その他の特徴
S2、S4はなんと!iOS機器にも対応しています!!
クラブへDJしに行ったとき、パソコンが壊れた!って時も、iPhoneやiPadに曲が入っていればそれでDJできるので安心です!
もともとパソコンを持っていないという方はiOSアプリのTRAKTOR DJをコントロールするために買われる方ももちろんいらっしゃいます。
もし、万が一仮に、この先別のDJコントローラーに買い替えをされるというようなタイミングがあっても、iOSで使用できるコントローラーは数少ないため、このS2、S4は使わなくなるなんて言うこともおそらくないかと思います。
じゃあ先生!S2を買おうと思っていた僕はどうすればいいんですか!!
ですよね、これだけS4を評価して、S2を検討していた方はガックシという感じかもしれません。
散々ブチ上げておいておきながらこんなこと書くと怒られそうですが、
あくまでS2が超名機です。
S2が素晴らしい作りな上に、さらにS4は!というお話です。
今S4をお持ちの方がどれだけ機能を使いこなしているかと言えば、STEMSも4チャンネルも使いこなしていない方が半分くらいいると思います。
S4を使ってターンテーブルをつないでDVS!という方も本当に少ないです。
そうなるとS2で十分ということになっちゃうんですよね。
しかもS2とS4の価格差は約2万円!
2万円あれば機材ケースも買えるし、いいヘッドホンや高級ケーブルも買えます。
そんなのどっちでもいいという方は彼女とホテルの超豪華なランチが2人分楽しめるレベルです。
付いてくるソフトは同じですので、一般的なDJプレイ以上までとことん突き詰めてやる!という方にはS4をオススメしますが、そこまでかと言われると・・・という方はS2で十分すぎます。
しかし、ハウス・テクノは奥が深いです。
ただ曲をつないでいくだけで満足いかないほどのめり込んでしまうことも。
このページを何度も読み返して後悔のない選択を!!
まとめ
S2、S4、どちらも大人気のDJコントローラー。
それぞれ機能に差があることはお分かりいただけましたでしょうか?
こうしてみるとS2より断然S4という感じに見えてしまうのですが、価格差も2万円近く開きます。
S2の機能が少ないのではなく、S4が多いという感じですね。
TRAKTORは機能が多いので、突き詰めるとかなりいろいろなことができます。
TRAKTORでしかできないプレイも多く、そのプレイがハウスやテクノDJなどにとても評価されているというわけです。
「あまり凝ったことをするわけでなく、コンパクトで普通に曲同士をMIXしていきたい。」
「iOSでも使えればいうこと無い!」という方はS2で十分すぎます。
そして付属ソフトも天下のTRAKTORフルバージョン。
ハウス・テクノなどのダンスミュージックが好きで、DJ MIXなどしてみたいという方は、是非TRAKTORも検討してみてください!!