DJ MAAR氏の今回に至るまでのインタビューを一字一句余さず全て掲載。
近々アーティストオーディションも行われるとのこと。目が話せません！！！
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15歳で、DJデビュー。若干18歳にして、日本のCLUB史に残る「芝浦GOLD」のメインフロアでDJとしての経験を持つ。新木場「ageHa」のレジデントDJとしても積極的にPLAYし続けてきたDJ MAAR。
DJ MAARとしての活動と並行して始めたDJユニット「DEXPISTOLS」では、国内を代表するラッパーのZeebraと共演。DAFT PUNKの日本ツアーのフロントアクトという大役も担ってきた。Fuji Rock FestivalやULTRA JAPAN、Big Beach Festivalなど大型フェスティバルにも積極的に出演。さらに、globeや加藤ミリヤなど人気アーティストたちの楽曲も多数REMIX。DEXPISTOLSの活動休止後、スケボーキングのShigeo JDと「FAKE EYE PRODUCTION」を結成。欧州を中心に、ダンスミュージックシーンへ多大なる影響を与える活動もしている。他にも、さまざまなアパレルブランドとDJ及び楽曲のコラボレートも行なってきた。
だが、2017年に、家庭の事情もあり大手ケーブルメーカーに就職。初のサラリーマン人生を送りながら、オーディオ業界を振興。このままDJとしての姿を見ることはないのか…。と思っていたところ、DJ MAARは2021年に入り、ふたたびCLUBシーンへ復帰。音楽芸能事務所「Dual AMP」の副社長に就任する傍ら、みずからも本格的に音楽活動を再開すべく新ユニット「DOGsPISTOLS」を結成。音楽レーベル「DOG TRAX」を立ち上げた。
ここまで、DJ MAARの歩みを駆け足で紹介してきたわけだが、なぜ彼らがDJの道を一度閉ざし、サラリーマンの道へ進んだのか。その道をドロップアウトし、ふたたびDJとして復帰したのか…。ここからは、DJ MAARのインタビューをお届けしたい。そこからは、彼の数奇な人生が見えてくるはずだ。
――DJ MAARさんと言えば、DJ界では時代を彩るさまざまな経験を重ねてきた方。
DJ MAAR 歴だけは長いという(笑)。「流行りには乗っかれ」「自分で面白いと思ったものは、積極的にやっていけ」の姿勢で活動をしてゆく中、国内のみならず海外にもDJとして呼ばれれば、DEXPISTOLSやFAKE EYE PRODUCTIONなどユニット活動でも評価を得てきたけど。ここまで歩みを重ねてこれたのは、時代の流れに噛み合えたのも良かったんでしょうね。とくに自分の場合、小さなカルチャーの中で遊び続けてきた中、そこで(企業も含め)一緒に遊んでくれるいろんな人たちと出会えたことも大きかったなと思います。そんな自分が、最近までサラリーマンをやっていましたけどね(笑)。
――なぜ、いきなり道を変えたのか、とても気になります。
DJ MAAR 10代の頃からずっとフリーランスで活動を続けてきたわけですが、僕は、けっして成功の道を歩んできたわけではない。むしろ、苦労や挫折を繰り返すことのほうが大きかった。確かにDEXPISTOLSは、陽が当たる大きなきっかけにはなったけど。その光も、数多くの負け戦を重ねたうえでようやくつかんだもの。その苦労を重ね続けてきたからこそ、家庭の事情というきっかけがあったとはいえ、それまで否定的だったサラリーマンと向きあってみようと。自分に、どれくらい社会性があるのかを見極めるうえでも、一度挑戦しようという意識で、音楽にも縁のある環境へ会社員になって飛び込みました。
当然、まわりは驚きました。ただ、自分は何時だって「0か100か」しかない性格だから、一度始めた以上は自分が納得し、結果を出すまでは集中しようと決めてサラリーマン人生も始めています。その間は、あえてDJ活動も規制をかけていましたし、目の前に仕事に没頭し続けてきました。
――なのに、なぜ復活の道を?
DJ MAAR もともとエンターテイメントが好きという気持ちがあったうえでのことですが、コロナ禍の音楽シーンに触れてゆく中、「こんな状況だからこそ、自分にもできることがあるんじゃないか」と思い、ふたたび戻る道を選択。復帰を喜んでくれる人たちや、一緒に仕事をしようと声をかけてくれる人たちもいるように、とても嬉しかったことでした。
でも、やっぱし僕は負け犬人生なんですよ。何が人生の勝ちなのか、負けなのかという明確な判断基準があるわけではないけど。自分で納得のいく結果を出せずに挫折を重ねてきた自分の人生を振り返ったら、やっぱし負け組なんですよね。そんな負け組の負け犬でも、噛ませ犬になってやろうじゃないかと。それこそ、予想だにしなかったジャイアントキリング(番狂わせ)が起きたら、自分だけじゃなく、世の中が盛り上がるじゃないですか。それをやってやろうと思い、新たに「DOGsPISTOLS」というユニットを作り、音楽レーベル「DOG TRAX」を立ち上げました。
――確かに、噛ませ犬が本命に勝利したときほど、世の中が熱狂することはないですからね。
DJ MAAR もちろん、大それたことをやろうとは思ってない。ただ、自分自身の活動も含め、才能を持ちながらも運に恵まれず違う道へ進まざるを得なかった人たちや、今も才能を燻らせている人たち。もちろん、これからを担う若手たちも含め、DOGsPISTOLSという集合体や、発信してゆくDOG TRAXという場を通して、世の中にそういう人たちの才能を噛ましていきたい。自分がアンダードッグ (相手に到底勝ち目のないチームや人)なのはわかっている。だったら、自分を含めたアンダードッグな人たちなりの生き方をしながら、そこで番狂わせを起こせたら楽しいじゃない。むしろ、そういう気持ちを胸に表現していきたいなと思ってて。
たとえばの話、自分も魅力を感じているヲタクカルチャー。それを支えている人たちも、支持をしている人たちも、勝ち組か負け組かと言ったら、負け組の部類の人たち。でも、彼ら彼女たちが開き直り、世間体など気にせずに「好きだ!!」という気持ちをぶつけた結果、今、世界を揺さぶる文化になっている。自分がDOGsPISTOLSで求めたいのは、そこ。世界を揺るがすではなく、「好き」という気持ちを思いきりぶつけてゆく場を作りあげてゆくことなんですよ。
――「好き」を実践してゆく場であろうと。
DJ MAAR 日本の文化は、開き直ることをあまり良しとはしないけど。俺は、「開き直った奴こそが世の中で一番強い」と思ってる。それは、自分でなくてもいい。そういう人たちが集まって、俺は、私は、こんなに好きなことを本気でやってるんだという表現の場を作りたいし、それを物語として描きたい。もちろん、それで食べていけるようになれたらベスト。でも、そこへ向かっていくための物語を見せてゆくことに、人は惹かれていくわけじゃない。
世の中の価値基準から外れた生き方にしんどいなと思っている人たちが集まり、それを表現してゆく場を得て、その行動が評価されたら、それって面白いことが起きそうじゃない。それは音楽に限ったことではなく、その人がやりたいなと思っていることでいい。自分だって、音楽制作もしている傍ら、地ビールを作ろうかなとも画策していますからね。
――地ビールですか…。
DJ MAAR そう。最初はファッションをとも考えたけど、いくら好きでも、一人でTシャツを10枚買わないじゃない。でも、ビールなら呑んでくれる。もし売れなかったら、お酒好きだからこそ自分でそのビールを呑んでしまえばいい(笑)。ほんと、それくらいの感覚。だから、DOGsPISTOLSを通して地ビールのプロデュースも考えています。
――DOGsPISTOLSは、そういう自由な表現を後押ししてゆく場なんですね。
DJ MAAR そうでありたい。DOGsというスペルも、じつはSDGs(持続可能な開発目標)をリスペクトしたもの。つまりDOGsPISTOLSは「持続可能なアーティスト集団」でありたいし、DOG TRAXをそういう人たちの集う場にもしていきたい。だからこそ、これからの人たちも、才能を持っていながら燻っている人たちも、セミリタイアしながらも夢をあきらめたくない人たちも、有効的な形で活性化していける。それこそ、社会性のない人も、きちんと生きていける場にもしていきたい。そういう負け犬たちが噛ます物語を描く場にDOGsPISTOLSをしていこうと、今、着々と準備を進めています。
僕自身、けっして強気に世の中を掻き回そうなんて思ってない。「また音楽を、他にもいろんなことを、これからやっていこうと思っています。すみませんみなさん、もう一回やってもいいですか?」と、世の中へお伺いを立てるくらい、謙虚に楽しもうと思ってる。もう一回野球をやりたいから、まずは球拾いからさせてくださいというのと同じ姿勢ですからね。
――そこは、だいぶ謙虚ですよね。
DJ MAAR 自分も一度辞めている人間だからこそ、そこはね。しかも今は、音楽芸能事務所「Dual AMP」の副社長にも招かれてという立場。そこでもいろいろと学びながら積極的に企画や計画を成し遂げたいし、そちらとDOGsPISTOLSやDOG TRAXの活動も上手く繋げたい。
僕自身が傷だらけの姿でふたたび立ち上がったように、DOGsPISTOLSの活動を通しても、さらに傷を増やしていく可能性は大いにあること。挑戦してゆく事柄を通してさらに傷を増やそうとも、その傷跡を残していくことが大切だなと思ってる。たとえボロボロになろうとも、それでも前に進めているのであれば、それでいい。そういう、負け犬たちが噛ましてゆく場がDOGsPISTOLSであり、DOG TRAXであれたらなと思っています。
PHOTO:平間至
TEXT:長澤智典
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DJ MAAR 復活祭＆生誕祭
『イッヌも歩けば、草臥れる』@CIRCUS TOKYO
5月5日(水) Door open: 15時 Close: 20時
ACT: DJ MAAR, Zeebra, ShigeoJD, MariNa, JON-E, MustacheX, MASAYASU, NO+CHIN, M!nase, TOMONO, GORO, BCB, 琴羽しらす and more..
HOST: VJ Boo
DJ MAAR Twitter
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合同会社Dual AMP
Twitter
https://twitter.com/Dual_AMP
Web Site
https://dual-amp.com/
