自由自在に音を操れる画期的なフォーマットSTEMS。作ることも手に入れることも、そして始めることも簡単ですが、作る際の重要なポイントをご紹介したいと思います。
それは「パート分け」です。
一件こちら簡単そうに感じるかと思います。もともと作成したものを例えば「ドラム、ベース、シンセ、ボーカル」に分けて書き出すだけです。
しかしこれが一つ間違えれば曲全体に影響を及ぼす可能性があります。なので決して安易にパート分けを行わない方が良いのです。
そのポイントは「どこからどこまでを分けるか」という事です。
近年流行しているEDMの場合で考えてみましょう。
よくよく曲を聴いてみます。EDMの特徴の一つはパワフルなキックサウンドですね。
このキックに注目して曲を聴いてみます。すると一つわかってくることがあるのです。
それは、「キックと同じところにベースが入っている」という事です。トラックを作っている方はもうよくご存知かと思いますが、キックの存在感を高めるためにベースを足すことがあります。これはキック事態にベース成分が入っていることもありますし付け足しでベースを挿入する場合もございます。
この低音部分を「ベースととらえるかドラムととらえるか」というところが重要となるのです。
一定の音域で打たれている物でしたらドラムに入れても差し支えは無いでしょう。しかしもしそれが曲のコード進行に沿っていたら話は変わってきます。
STEMSミックスの醍醐味は曲を素材として使いAの曲のキックとBの曲のベースをミックス出来る、というところにあります。もしドラムのところにベースが入ってしまっていたらそれが出来なくなってしまいます。
かといってベースに入れるとキックの音が弱くなってしまいます。
ここは慎重に選択しなければなりません。
あとは特殊サウンドの場合です。EDMを聴いていると盛り上がるところ、展開が変わるところには決まって「シュワ~~~~」というホワイトノイズ音が曲を盛り上げます。こういったものはどこに分けるのでしょうか?
シンセのところに分けるのも一つの方法です。しかし、それも場合によるところがございます。
ダンスミュージックではトラックメイクの時によく使われる手法がございます。
「サイドチェーン」と呼ばれるものです。
サイドチェーンを使う事によってキックがあるところにのみコンプレッサーをかける、といったことが可能となり、その音に対してうねりを作ることが出来ます。
基本的にはキックを中心に使用されることが多いサイドチェーン。もしノイズの音にそれが使われていた場合、ドラムと離してしまうと成り立つのでしょうか?
こちらに関しましては実際に聞きながらやってみないとわかりません。良い場合もありますし悪い場合もあります。
せっかくシンセだけに出来るのだからノイズはドラムに入れる、という手段もあります。また、ボーカルが無い曲でしたらこういった特殊サウンドだけのパートを作ってみてもいいかもしれませんね。そうすれば曲としてだけではなくサンプラーとしても使用できます。
これ等に関しては決してEDMだけに言える事ではありません。低音が複雑なテクノやビートが命のヒップホップ等それぞれにそれぞれの課題があります。
ジャンルによってそれを活かしたSTEMS作りが出来るのが一番ですね。