具体的に説明を致しますと、OTAIRECORDでは通信販売にて作曲を行うためのDAWソフトウェアや、それに伴う周辺機器や録音機器を販売しており、何を揃えていいかわからない初心者の方に、よりチャレンジをしていただき易くするために、それらのソフトウェアとハードウェアを弊社独自にセレクトしたセット商品を多数ご提供しております。
しかし、作曲を始めたからといって、それらの楽曲を世の中に披露する機会は少なく、それぞれのプロモーションに委ねるところでありました。
そこで、TuneCoreが行っております有料ダウンロードサイトや、ストリーミングサービスへの音源配信委託サービス(1シングル・1年間配信)を無料でご提供いただき、それをセットに含めさせていただくことで、作曲から自身の音源配信までの道筋を1つのパッケージとしてお求めいただく事が可能となりました。
TuneCoreは、国内にとどまらず、iTunes Storeなどを始めとする有名な楽曲ダウンロードサイトを通して、世界中に自身の楽曲を配信、販売を行うことができます。
この機会に世界中に自分の楽曲を配信してみてはいかがでしょうか。
誰でも作曲から配信までを行うことができるようになり発信側のクォリティの問題も無きにしも非ずですが、一方で、高いクオリティーの音源が数多く出てきているのも事実です。
しかし、情報過多の世の中では、そんな素晴らしい楽曲もファストファッションのように扱われてしまっているのが現状ではないでしょうか。
それは、アーティストのセルフプロモーション能力不足が招いてるところも原因としてあげられます。
TuneCore Japan代表 野田威一郎 氏(N)(画像)
インタビューアー:OTAIRECORD 山口達也(Y)
画期的なサービスの仕掛け人がTuneCore Japan代表の野田氏です。
野田氏もまた音楽畑出身で、ミュージシャンの立場が分かる人でした。
そこにTuneCoreの発展の秘訣があったのかもしれない。
ではインタビューを是非お読みください。
Y− 今日はTuneCoreのサービスについて、今回のコラボレーションについてお伺いさせていただきたいと思っています。よろしくおねがいします。
N− よろしくおねがいします。
サービスとしては簡単な説明になりますが、音楽のディストリビューターやデジタル音楽のアグリゲーターといわれる立ち位置です。
いわゆるデジタル音楽の流通サービスですね。
オンライン上だけですべてが完結するインターネットサービスで、契約書なども特に要らず、色々なサービスを受けることが出来るわけです。
アーティストさんが我々のサイトにアクセスして、メールアドレスとパスワードを登録してもらうと、すぐに使えます。
特別難しいことはなく、アーティストさんが自分で作った曲の音源と文字情報とジャケット画像、この3つを頂ければ、一括でこういった配信ストア(iTunes Store, Apple Music, Spotify, AWA等)に配信することが可能です。
また4つの特徴があって、1つが楽曲売上は100パーセント還元というところです。
配信ストアの手数料はやっぱり引かれちゃうんですけど、それを抜いた収益は100パーセント、直接アーティストに返しますというサービスです。
2つ目に権利、原盤の権利譲渡も一切ないので、配信後も権利を持ったまま自分で管理することができます。
Y− レーベルにはいらずとも配信サイトの事務作業を代行してくれるサービスという事ですね?
N− そうですね。レーベルさんの役割は配信だけじゃないと思いますが、オンラインのストアで売るということでいうと、個人でできますし、誰でも使えます。
3つ目の特徴が、安くて速いということです。
最短2日間で配信ができるので、今日(金曜日)手続きすると日曜日には出る感じのスピード感。
Y− 全部?
N− ほとんどですね。一部、ストアによってもう少し時間がかかるところもありますが、大半がそれぐらいのスピード感で配信することができます。また配信している楽曲のダウンロード数などのデイリーレポート、月次の金額をそれもまたウェブサイトで一括管理ができるので、全てのストアからの収益を一元管理できるということが特徴かなと思います。
今は世界120カ国、40ストア以上に一気に自分の楽曲を配信できちゃいます。
Y− ありがとうございます。
もともとアメリカで先行でやられてたサービスだと思うんですけれども、それを日本にというか、野田さんがこれをやろうと思った、きっかけみたいのがあれば教えてください。
N− 日本で私、
Wanoっていう会社の代表を兼任しているのですが、もともとエンターテイメント×ITを活用して、日本の文化やクリエイターを支援するサービスを作るってビジョンで立ち上げた会社なんです。
そこで、私が音楽事業をやりたいと考えていたときに、今TuneCore Japanの役員にもなってもらっている友達とか、昔クラブで働いていた時の知合いやアーティストに、今どういうのが必要?とか、困っていることない?と聞いて回っていたのです。
その中で、デジタル配信っていうところが意外と手間が掛かる、できない、という声が多かったのです。さらに海外にはTuneCoreのようなサービスがあると聞いて、さらに色々調べていきました。調査していたのは大体2009年とかだったと思うんですけど。当時アメリカのTuneCoreも設立されてまだ3年目ぐらいの小さかった時でした。
その後なんとか繋がってTuneCoreに会いに行き、ライセンスさせてくれっていう感じで話をしました。結果としてジョイントベンチャーでならいいよみたいな答えを頂きました。こういう形でTuneCore Japanが立ちあがったのです。
Y− ありがとうございます。他にも同じようなサービスをしている会社っていうのがあると思うんですけど、そことの違いというかを教えて頂けますか?
N− まず国内ではオンラインで全て完結するっていうのはそんなに多くないかなっていうのと、あと100パーセント還元するビジネスモデルは、多分世界的にもTuneCoreだけですね。
リリースするにあたり配信手数料が発生しますが、売上は100パーセント還元でアーティストが背負うリスクはありません。
ですからインディーズでも、意識レベルが高くて、勢いがあったり、質が高かったり、自信がある、イケてる次世代アーティストが使ってくれている傾向が海外ではあります。
Y− 収益率が他よりは高いっていうことですね。
N− あとは海外に強いとか。大元がアメリカにあるので、海外のリレーションが組みやすいというのも便利な点です。
さらに去年の5月に始めた、YouTubeコンテンツの収益化というサービスがあります。楽曲を販売するだけでなく、YouTubeの動画内で使われた曲の広告収益を回収しますっていうサービスです。
これも1つ、ディストリビューション以外でアーティストが収益を得る方法となっています。
このサービスは、最近海外ですごく伸びてきています。日本だとまだまだ認知度が低いですが、昨年末ちょうど、ピコ太郎とかでちょっと話題になりましたね。
自分の曲が他人の動画で使用されても、実はアーティストとして曲をちゃんと登録しておかないとお金は入ってこなくて。その登録は実は誰でもできるわけではなく、一部のアカウントしか出来ないので、それを我々が行っているということです。
知らない第三者が自分の曲を勝手に使って動画を制作したとしても、普通だったら泣き寝入り。広告収益は動画を作成した人に入っていくのですが、このサービスに曲を登録していると、誰かが仮にCDをリッピングして動画を上げたとしても、その動画の広告収益はちゃんとアーティストに支払われるようになります。
Y− 誰かが楽曲を無断でアップしたとしてもアーティストに広告収入が入るような仕組みの登録を代行でするっていう。
N− そうです。我々がこの曲がAさんっていうアーティストの曲ですよっていうのをYouTubeに登録する。そうするとYouTubeがAさんの曲が使われていたよ、と広告で得たお金を私たちのアカウントに支払う。それらをアーティストさんに返してあげる。
Y− なるほど。これはいいですね。
N− あともうひとつ、DOD(Disc on Demand)と言うAmazonさんと取り組みを去年の12月からスタートしました。これは在庫リスクがゼロ、追加手数料もゼロでCD販売がAmazonでできるという、新しいCD流通の仕組みを用意しています。
すでにリリースをTuneCoreでデジタル配信して頂いているアーティストさんであれば、ブックレットの追加情報をアップロード頂けると、それをそのままAmazonさんにお渡し、Amazonで自分のCDが販売できるっていう。
Y− プレスとかもAmazonがやってくれる?
N− そうなんですよ。受注発注型なので、1枚オーダーがあったらAmazonが1枚のCDをガッと作って配送する、なかなかAmazonじゃないとできないだろうなっていう鬼な仕組みがありまして。
それと私らのデジタルの情報をうまく組み合わせて、アーティストはノーリスクなので在庫を多く持たなくて済むようになっています。
買われたら作って売ってくれるので、アーティストさんは情報だけ送って売れるのを待つだけ。
100枚売れたら100枚Amazonが売ってくれるし、1枚しか売れなくても1枚しか作らないで販売できます。エコですよね。環境に優しい流通サービスです。
Y− それすごいですね。知らなかったです。
N− DODは最近出したばかりのサービスなので、まだまだこれから知名度を上げていかなければならないですね。
このサービスも国内でやられているところは少ないですが、我々の場合はオンライン上の管理画面で、一括でできちゃいます。
Y− すごい、です。
N− 日本はCDも、まだまだ意外と需要があるので。
Y− ありがとうございます。
TuneCoreの利用者の層についてお伺いしたいのですが、さっきおっしゃってたように割と質の高い、レベルの高いアーティストが多いのでしょうか?
N− TuneCore Japanは楽曲の権利を持ってれば誰でも使うことができます。
なので楽曲のクオリティはみなさんそれぞれでとても面白く、本気でプロとして活動されている方から、趣味でやられている方、ないしはちょっとやってみた、みたいな人や、酔っぱらってやってるんじゃないかって思うような感じとか(笑)。
ただ年間にかかるお金があるので、いたずら的な物は少ないです。
自分の曲をみんなに聞かせたいっていう思いに対して、一応リスクを取るようなアーティストさんが多いので、質は想像以上に高いですね。
Y− 分かりました。ありがとうございます。
では、次の質問です。野田さんはクラブで働いてたということなんですが、もともと音楽が好きだったんですね?
N− 私、大学生のときにずっとクラブイエイジア、ブエノス、などを運営しているカルチャー・オブ・エイジアでバイトしてました。そこで大学の間ずっとイベントオーガナイザーやバーテンなどで働いていた。その時は結構ドップリでした。
Y− ヒップホップがお好きだったのですか?
N− 僕がやってたのは、ダンスイベント、学生イベントとかヒップホップイベントとか。
当時、クラブエイジアもブエノスも昼間営業してなくて、そこの昼をライブハウスにしようっていう最初の初期メンバーの1人で入っていました。
Y− じゃあロックなども。
N− そこに関しては、対バン系のバンドから始めてみたり、学生イベントをブッキングしたりとか、昼間はそういう感じでやっていました。
Y− 分かりました。じゃあ今も音楽は好きで。
N− もちろん音楽は好きで聞いてますけど、ジャンルにはあんまりこだわりがありません。
最近は雰囲気で聴くこともありますし、「○○な気分」のようにすでにまとめられたプレイリストから、聴くこともあります。昔に比べて、色々な選択肢がありますよね。だから今は、集中したいときの音楽はこれとか、スノボとかしてるときの音楽はちょっと早めのこれとか、そんな感じで聞き分けるようになっています。
Y− ありますね。仕事するときはテクノとか私も決まってますね。
N− その時のテンションに合うといいですよね。
Y− ありがとうございます。
今回、OTAIRECORDという音楽機材やレコードを販売してる会社と一緒にやろう、というふうになったきっかけというか、思いみたいなのがあれば。
N− 今回の具体的なきっかけは、TuneCoreのスタッフが言いだしたんですね。
ただ実は、それ以前からFacebookでOTAIRECORDさんのページをフォローしていて。めちゃくちゃ面白い画像とか投稿されているじゃないですか、結構ファンで(笑)。
Y− ありがとうございます。
N− なので私らのFacebookページでもシェアさせて頂いたりしていました。最新機材の面白い情報とか、TuneCoreのユーザーともすごく相性がいいので。そういった理由でもチェックしていました。
楽器や機材という概念で思う事があります。
それは我々の存在自体、音楽を制作する活動の一部だと思ってほしいという事です。
アーティストさんが自分の作曲活動をするために、楽器や機材は必須となります。
我々の場合は作った後にそれを配信するツール、そういうイメージになれたらと思います。
ギターとかエフェクターとかと同じように、音源制作のカテゴリとしてディストリビューター、そんな感じのサービスだって思っている部分がありますね。
Y− 結構アーティストさんに近い存在。
N− めちゃくちゃ近くにいたい。それもクラブイベントのとき、やっぱ出ているアーティストさんも面白い方が多いじゃないですか。
Y− 多いですね。
N− 変なやつも多いじゃないですか。でも変なやつが結構有名になってたりとか。
もちろんずばぬけてパフォーマンスがうまい子とかもいますし、いろんなやり方があると思うんですけど、やっぱそういう人たちの近くにいたいと思います。
TuneCoreはそういう人たちには、価値があると思っているサービスです。
だから直接、誰でもできるっていうサービスにしていきたいなと思います。
Y− 分かりました。具体的に、オタイレコードとコラボするっていうことは決まったんですね。
N− ご一緒させていただきたいと思ってます、いろいろとご一緒できれば。
Y− エンドユーザーに、それはどういったメリットがあるんでしょう。
N− オタイさんのほうで、楽曲制作応援パックみたいなものを作られているじゃないですか。ああいうのに我々も協力したいなっていうところがあって。
ささやかですけど制作から実際に曲を公開するところまでをご一緒できないかなって。作曲のもう一歩先、を入れさせてもらうことによって、「楽曲制作」のみから・・・世界に発信する所まで。曲を制作した後も、楽しくワクワクしてもらえるために。
Y− 楽曲を作るだけでなく世界中の人に聞いてもらうっていうとこですね。
N− そうですね。作ったものを聞いてもらうツールなので。
あとは
ビートグランプリなどのイベント。ビートグランプリは素晴らしいトラックメーカーの方々が出ていらっしゃるので、我々も是非ご協力できたらと思っていて。
本当に有名な方たちもTuneCoreを使いはじめてくれているので、あながちインディーズと言って、ばかにできなくなっている時代がきていますね。
特に多くのヒップホップのアーティストさんが我々を使ってくれていますが、配信ストア内のランキングでも1位取っちゃうし、ヒップホップとは比較的相性がいいと思っています。
アーティストとして、自分たちでクリエイティブや発想力を活かしてファンを増やしていければ、意外と自分たちでもできることは増えていくかなと。
ですからビートグランプリに関してはイベントや楽曲配信のほうのお手伝い、両方で応援できたらいいなと思っています。
Y− いいですね。ビートグランプリも本当にレベルが高いので、毎年ちゃんとやんなきゃなって。
T− あれは良いですね。
Y− ありがとうございます。
では最後に、先ほどちょっとお話しいただいたんですけど、今後の展望を。
N− 今4年が経ち、国内の配信ストアはほとんど埋まってきていまして、大体主要な配信ストアには配信をさせてもらっています。
これからは日本のアーティストを世界に連れてくっていうのをさらに強化したい。
海外の配信ストアは西洋系+アジア系、こういうエリアをどんどん追加していきたいですね。
あとはさっき言っていたように、オンラインだけじゃなく、アーティストにとって良いのであれば、オフラインでもイベントやライブの協力ができるようにしていきたいです。
アーティストさんが作ったものを広げられるようなサービスには、力を入れていきたいと思っています。
あとは配信した曲をさらに色んな人に知ってもらえるように応援することを強化する、その3点ですかね。
Y− アーティストを総合的にサポートしていく感じですね。
N− なんでもかんでも私らだけではできないので、パートナーと組みながらとか。
例えばYouTube収益化サービスもYouTube(Google)と組んでいるし、別に全部が全部自前というよりも、他社さんと組んでやっていたり。
とにかく世の中に存在するアーティストに良いと思われるサービスにしていきたいなっていうとこですね。あとは、まだまだ認知度が低いので、サービス自体の認知度を一層あげていきたいです。
Y− 本日はどうもありがとうございました。
野田さんは音楽愛に溢れた方で、これからの音楽業界を引っ張っていくオーラが漂っていました。OTAIRECORDともどもTuneCore Japanを是非ご愛用いただければと思います。