Vestax PMC-500
-第5章- PMC-500の語り。
PMC-500
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(第4章の続きから)はい、それでは次のミキサーにいきます。
今まで3機種R-1、R-2、R-3と紹介していきました。で、今度はPMC-500についてお伺いしたいと思います。 これもクラブ用のミキサーというコンセプトで作られたのでしょうか?
はい。PMC500のコンセプトもクラブでの現場設置を目標に作られています。 その中の条件としては、クラブのDJブースの前に立ってこのミキサーを見たときに視覚的にミキサーコントロールの配置が全てわかると。
ここがゲインで、ここがEQでという配置をできるだけスタンダード化しようと試みました。
PMC-500 PIC1
視認性やユーザビリティというやつですね。
そうですね。
実際にPMC-50というミキサーがクラブやディスコの現場でとっても多く使われていまして、それの後継機というイメージで作られた感じでしょうか。
そうですね。PMC-50をベースに設計したのがPMC-500です。本体の幅もCLUB施工用にラックに収まりやすいように。 中の回路もR-1、R-2、R-3という実際の設計経験を経て作りました。
R-1、R-2。で、R-3が出てPMC500が出た。なるほどなるほど。
今までロータリーミキサーで音質の評価の高かった部分や、今まで習得した設計ノウハウを、 今度は縦型のスライドフェーダー型に置き換えたのがPMC500です。
いわゆる一般的な縦フェーダーと言われているものにしたということですね。
PMC-500 PIC2
はい。設計面では1つ回路設計で新しい挑戦をした部分があります。DJミキサーでは音量をコントロールする部分っていうのがありまして、 例えばロータリーミキサーとかのボリュームだと、そのボリューム自体に音声信号が流れて、音を小さくしたり大きくしたりするのですが、 縦型のフェーダーやクロスフェーダーの付いているモデルは、ダイナミックで速い操作が要求されるんです。動かしたときの摺動雑音も軽減させなくてはならないですし。
そのために音声信号を電圧でコントロールするVCA回路が必要になってきます。この条件はいろんなDJ機器メーカーさんも同じなんですが、ベスタクスで新しく試みた設計は、 簡単に音量を調整できる専用ICで音量コントロールをするのではなく、純粋なアナログパーツで電圧をコントロールできるVCA回路です。
VCA回路?
ボルテージコントロールアンプリファイアの略です。IF(縦フェーダー)やCF(クロスフェーダー)を動かした時の電圧で音の増幅をコントロールする回路っていう意味なんです。
この回路がPMC500以降のベスタクスDJミキサーで使われています。
05シリーズのPRO3とかも品番にVCAと書いてありますね。
そうですね。そのVCAです。設計を簡単にするには1チップ化してしまうと楽なのですが、 音の特性がそのチップごとに出てしまってそれを消すことができないんです。
ですが、ベスタクスのVCA回路は純粋なアナログ部品設計になっているので歪みのない、くせのない音が再現されるんです。 そういった設計を盛り込んだモデルがPMC-500です。
めちゃくちゃこだわられていますね。
ちょっと説明がマニアックになってしまいました。
(一同笑い)
いやこういう話だったら1週間でも1ヵ月でも大丈夫です(笑)。楽しすぎる(笑)。

・・・・っと、そこで、私の前に1つ気になるミキサーが現れました。 先ほどインタビューの冒頭で、今日は5つミキサーを紹介するというふうに申し上げたのですけど、なんと、もう1台PMC-500があるではないですか。 ぱっと見たところ、先程のPMC-500とちょっと違いますね。チャンネルが1個多い気がするのですけど。
そうですね。一番左側のチャンネルが1つ増えています。
PMC-500 PIC3
これは試作品か何かなんでしょうか?
これは、PMC-500を完成させて販売し、現場で使っていただく間の過程の中で、DJのジェフ・ミルズさんの目にとまりまして。
ジェフ・ミルズさん。ジェフ・ミルズさんっていうのは、あのジェフ・ミルズさんでよろしいんでしょうか(笑)?
あのジェフ・ミルズさんです(笑)。彼がこのPMC500をとても気に入っていただきまして、しばらくはこの5チャンネル使っていただいていたのですが、 彼が新しい境地のDJプレーをやりたいということで、日本でもご存じの方が多いと思うのですが、ターンテーブルを6台並べて同時に操作させたいと。
伝説ですね、それは。
その時にベスタクスがこのPMC500をカスタムして、ターンテーブル6台用にチャンネルを1本つけ足したのが、このジェフミルズモデルPMC-500です。
ということは6チャンネルにした理由っていうのは、ジェフミルズが6台ターンテーブルを並べてプレーしたいからなのですね。あの伝説の。
これはもう生産台数もほとんど・・・超レアなモデルになるということですね。そんな話があるとはまったく知りませんでした。
(一同笑い)
裏話満載なのですけど。
どこまで言っていいのか(笑)
-第6章- PMC-CXの語り。に続く...
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