=calm氏
=OTAIRECORDようすけ管理人
-第3章- 「DJにとって大切な物」
ちょっとパーティーのお話を先ほど、マネージャーのユウタロウ君の方から伺ったんですけど、名古屋のMAGOさんでパーティーが行われるということですけど、かなりそれも音質にこだわった・・・。
そうっすね。なるべく普通のクラブとは考えられないぐらい、いい音にしてやるっていうのがコンセプトなんですけど。
それを地方でやるのってなかなか難しいんですけど。数年前からTonesっていうツアーをやってて、その時はうちにある機材をほとんど車に積んで回るっていう・・・。
すごいですね。
ツアーをやってるんですけど、それの一番すごい版というのが、今回のそのパーティなんですけど、それはもうDJミキサーじゃなくて、マークレビンソンのプリアンプ、マークレビンソンのパワーアンプ、クリップシュホーンという、もうシンプルなつなぎにして。
針がちょっとまだ今、カートリッジ何にしようかというのだけ考えてるんですけど、それで、音質とか音の飛びとか、そういうのを重視。
もちろんピッチも変えないし、ヘッドホンはさせないんで、頭出しもできないじゃないですか。
もうひたすらレコードをかけるっていう。
そうですね。
DJミキサーがないってことですよね。要するに。
そうです。チェックができないので事前に、この曲は、どうやって始まってどうやって終わるかとか、回転数はいくつ、テンポはどんぐらいの速さだとか、どの辺で音が大きくなるとかちっちゃくなる、そういうのも全部把握しないとプレイできません。
分かってないと。はい。
完璧に把握してかけないと、ボリュームちっちゃいなと思って上げてたら、あ、この曲ってここで大きくなるんだって思うと、バーンってなると駄目なんで。
いきなり。はい。
そこも昨日みたいにレベルメーターで音量をきれいにとりながら、本当にスーっとみんなが自然に曲感すらも楽しめるような、ちょっとハイエンドな音のパーティーを、今回やるんですけど。
とんでもないパーティーですね。
でも、実際こういうのは札幌のフィルモアノースっていう究極の箱があります。
そこで、年に何回かやらしてもらってるんですけど。
そこは本当にすごい。
札幌のフィルモアノースさんですか。
フィルモアノース。プレシャスホールっていう、すごい音がいいクラブがあるんですけど、そこは普通のUREIとかDJミキサーを使って、針も普通のコンコルド使ってるんですけども、めちゃくちゃ音がいいんですよ。これはもう本当に。
スピーカーがいいんですか?
部屋のチューニングからしていいし、使ってる機材も。
でもスピーカーは普通のJBLとか。最近のJBLじゃないんですけど。
そこはクラブだから、すぐ壊れたときにリコーンできるように。
現実的な選択ですね。
それで、でもすごく音がいいんです。
もう、ちょっとしたハイファイショップみたいな音がするんですけど。
ハイファイショップのライブハウス版みたいな音がするんですけど。
ちょっとある程度吸音もされていて、反射も考えられているんですけど。
そこのもっと究極版でフィルモアノースっていう同じオーナーさんがやっている店があって、そこは月に3回しか開かないんですけど、平日に。
ああ、そうなんですか。もう完全にあの趣味というか、もうビジネス度外視で。
そうですね。ただ、そこはもう本当に多分プレシャスより、お金がかかっているかもしれないっていうぐらい、本当にすごいところなんですよ。
もうクリップシュホーン7台。7チャンネルなんですよ。
7チャンネルで各1台にマークレビンソン23.5Lが付いてて。
ものすごいですね。
プリアンプにマークレビンソンのML-1を使って、針は光悦。
光悦なんですね。
ターンテーブルが、エクスクルーシブのP3なんですけど。
強烈ですね。
はい。すごい。もう究極の箱があって。そこはなんかその箱鳴りで聴かせるっていう感じなんですよね。
なるほど。
吸音よりも拡散をうまくさせて。コンサートホールみたいな。アッという音を。
最初からもうそれを狙って設計されている。
はい。だからそこで聴くときは、もう変な音のレコードかけれないですね。曲は好きでも音質はアウトとか、そういうのはもう持って行っちゃいけない。
めちゃくちゃシビアですね。
そこでやるようになって、よりいろんなことに、こだわるようになったんですね。
そういうのもきっかけとしてあるんですね。
ああ、こうこだわるのかとか、なんかその一個一個のその壁の貼り方、どこを起音させて、どこを反射させるのかとかって、そういうのすごい大切だし。
そう考えるともう今、勉強になって、いろんなとこ行って、ああどういう響きしているからどこをどう抑えればいいのかとか。
お金があれば高いの買えばいいんですけど、でもいい機材を持っていればいい音が出せるってわけじゃないですから。
そうですね。
やっぱ50パーセントは部屋の鳴りで決まっちゃうと思うんで。
そうですね。環境がものすごく大事ですね。
今はなしに上がったフィルモアさんとかプレシャスさんだけじゃなくて「最近、人がいなくて駄目だよ」
って言ってるところが、じゃあ何を考えればいいのかっていうような事を思います。
いいDJ入れるとか、外タレを呼ぶっていうその努力も、もちろんしなきゃいけないと思うんですけど。
でもルーティンワークに飲み込まれずに、日々日々その、じゃ、どうしたらお客さんが長く居てくれるのか。
音がでかすぎても駄目だし、会話してて、音がうるさくて会話が聞こえなくて「はあ?」みたいになっていたりとか、しゃべってると、それだけで疲れるじゃないですか。
そうなるともう酒も進まないかもしれないし。
でも、お客さんが長く居てくれれば、そこで踊ってくれれば、みんなもちょっと喉が渇くし、お酒も出るし。
そういうのも含めて、やっぱりいい環境にしてくれると、もっと人が来てくれるっていうか、さらに居座ってくれるんじゃないかなって思うんですけど、その辺の努力が足りないんじゃないかなって思うんですよね。
なるほどですね。分かりました。
オタイレコードの、ここまでお話うかがっておいて言うのも何なんですけど、オタイレコードのお客さんって、結構、初心者の方が多かったりするんですね。
まあ、今までのそのCalmさんのお話を聞いて、「自分も良い音でDJしてみたい」っていうふうに思った人も何人かいると思うんですけど、どこから手をつければいいと思いますか?
CDJとかPCDJも買っちゃったとして。やっぱり電源あたりでしょうか?
ある意味、邪道なんですけど。邪道っていうか、これは言っていいのかっていう感じなんですけど、DJミキサーを通さないことですね。(笑)
それは言ったら駄目ですよ。(笑)いやいや大丈夫ですよ。
いや、それは、まだ続きがあって、究極な話、まずDJミキサーを通さずにパワーアンプだけとか、あとプリメインアンプみたいなのあるじゃないですか。
プリメインアンプ。はい、ありますね。
DJの中でレコードを使っている人は、DJミキサー必ず通してって考えてる人が多いので。
まずは普通にレコードプレーヤーとして聞いてみる。
CDJの人は、CDJを取りあえず置いといて、普通の存続のCDプレーヤーあるじゃないですか。
別に安いやつでもいいと思うんですけど。それを揺れないようなスペースにちゃんと置いて聴く。
水平なスペースで。
その結果、その自分が大好きな音楽が、どういうふうな鳴りをしているのか、どういうグループなのか、どういう空間性があるのか、どういう揺れがあるのかとか、そういうのを全部把握した後にDJミキサーを通して、DJの練習をすれば良いと思うんですよね。
いきなりDJの練習をするのではなく、まずしっかり曲を聴く。ということですね。
それが俺は一番大切だと思いますね。
今、DJで鳴ってる音を疑うみたいな、そういう感覚ですか。
いや。その自分がかけたい音の本質を知るってことが一番大切なんですよ。
なるほど。
DJミックスの練習ばっかりしていると、パーツしか覚えなかったり、この曲のここで、次の曲、決め打ちで練習したりとかするじゃないですか。
流れでやっちゃいますね。
その前に、じゃその曲はどう始まってどう終わるのか。
そういう曲の全部把握するっていう意味で、まずはストレートに音を聴くっていうのが一番大切だと思いますね。その後のDJだと思うんですよね。
まずは、しっかり曲を聴く事から始める。当たり前のことがDJミックスが前提になるとできなくなってきますね。
確かにミックスする場合は、DJミキサーを通さなきゃいけないから、絶対使わなければいけません。それは分かってるんです。
でも、まず曲を頭から終りまで聴くと、この盤は鳴りがこういうふうに良くて、この盤はこういうふうな鳴りがするから、この曲とこの曲はつなげてかけるといいとか、
そういうのまでドンドン理解していけると思うんですよね。
だから、そういう意味でDJミキサーでずっと練習しながら聴いているよりは、まずは1曲を真剣に聴いてみることですよね。
頭からケツまでずっと。
だから、そのためにDJミキサーとか、本来音楽を聴く上で余分な通さなくていいものはまず通さずにシンプルに音を聴くことという事。
それが俺一番大切だと思うんですよね。
テクニックがどんなに付いたからって、そこの音楽に対する、その曲に対するハートがなければ、やっぱり伝わらないと思うんですよ。
その曲は使い捨てなのか、自分が本当に愛してかけている曲なのか、ただ単にこの曲とこの曲をつなぐと、この部分でつなぐとミックスがかっこいいからって、ただそれだけでかけているようだとそれは自己満足でしかないと思うんですよね。
だったらただ発表会でしょ、みたいな。じゃなくて、DJっていうのはだからさっき言ったみたいにパーティーの一部なんで、自分の発表の場ではない。
でもそのためには練習してくるとは思うんですけど、でもやっぱり、そういう自分が本当に好きな曲を伝えるっていうか、かっこいいからとか、自分がそれだと格好よく見えるからとか、なんかそういうの概念を全部捨てちゃって、音楽っていうパーティーっていうものの中でプレーするっていう考え方です。
それができるようになるために、しっかりその曲を聴きこむと言う事が大切なのです。
シンプルな形で聴いて、その上で使っていくということですね。
はい、そうですね。
あともうひとつは、家でなるべく、CDプレーヤー、CDJ、ターンテーブルとかを揺れないようにすること。
それはもうクラブでもどこでも一緒なんですけど、まあオーディオさんだから、ここはお分かりでしょうけど、やっぱ大概ちょっとクラブ行くと、
木枠で作ってあったりとか。ユラユラなDJブースで、ハウリングはするわ、ハウリングする帯域をEQで切ってあるわっていうと、それだと音楽の面白さがドンドンなくなってくるじゃないですか。
音がちゃんとしてるところって、きっちりコンクリート、ブロックだったりして揺れなくなってくるんで、やっぱりレコードもゲイン上げてもハウらないし。
みんな勘違いしているのは、CDとかCDJが揺れは関係ないと思っている人たちがいるんですけど、結局あれも回転物じゃないですか。
だから、あれはたまたまエラー補正をしているだけだから、揺れなくするとめちゃくちゃ音が良くなるじゃないですか。
クラブだと大音量出すから、それが簡単に分かっちゃうんですけど、家の中ってほら、そんなに音量じゃないから分かんないけど、実はやっぱり揺れてたら、音がドンドン悪くなっていくので、その入り口がすごい大切。
そこをまず揺らさないという。針にしても当然同じ。
そういった対策をして初めて音が、フラットに出てくるんで、それを増幅させていけばいいじゃないですか。
そこへノイズが乗っているものを増幅していったら、どんなにきれいに聴こうとしても聴こえない。
その2点さえしっかりしてれば、あとはもう練習してもらって。
あとは、もうセンスと才能なんで。そこから先は好み等もあると思うんで。何とも言えないですけど。
CDプレーヤーだったり、CDJもそうなんですけど、ラックとかテーブルを変えるだけでも全然音が変わるんで。
それは是非初心者の方にもぜひチェックしていただきたいなと。
DJ用のスペースと、そうやって聴くスペースっていうのを分けるっていう言い方も変ですけど、まあ、ちっちゃい6畳間ではそういうのなかなか難しいと思いますけど。でも・・・。
可能な限り。
可能な限りそれをちょっと実践してもらえればなと思いますけど。