=calm氏
=OTAIRECORDようすけ管理人
-第7章- 「アナログレコードについて」
あと、話を変えますが、アナログレコードに対する事なんですけど、私の所属しているレコードショップOTAIRECORDは、レコードの通信販売から始まったんです。

家業はCD屋とかオーディオをやってたんですけど、OTAIRECORDとしては、インターネットのアナログレコード、DJ機材通販専門店としてやっています。

もちろん今もアナログのことは大事にして、続けてはいるんです。

今DJ機材の売り上げの比率でいくと、7割がPCDJ関連です。1.5割がCDセールス、1.5割ターンテーブルというような状況なんですけど。レコード盤が去年あたりからまた火がついて、Calmさんもご存じだと思うんですけど、世界全体でみると2008年が底だったんですね。

そこから徐々に盛り上がっていって、今ターンテーブルすごい売れてきて、さっきの比率なんかも、多分、今期は全然比率が変わってくるという感じだと思うんですけど。
アナログレコードのCalmさんがこだわり続ける理由っていうのをお伺いしたいんですけど。それは音が良いからということでしょうか。
昔から聴いてきているっていうのもあるし、直感でしかないといえば直感でしかないんですけど。
でもやっぱりパッケージがあるってすごくいいことだと思うんですよね。
レコードジャケットですね。
データっていうのは、どこまで行ってもデータじゃないですか。
文字情報が入っているだけでそのものを触れないじゃないですか。

でもレコードとかCDは、一応ものが触れるような状態になっているし、レコードなんて特に回っている状態まで見えるし、大きさも、なんか所有感がすごくあると思うんです。

あと、アナログの場合は、いい音にするための順序、手順っていうか、その準備がすごく大切じゃないですか。
CDって簡単に、大体同じような音が、まあもちろんその上下あるにしても、出せるんですけど、アナログって凝れば凝るほどやっぱりすごくいい音になるし、そういう作業も好きですね。
ダイレクトな感じですね。
はい。例えば先程言ったみたいに、音楽機器をちょっと揺らさなくするだけでも、音が締まってきたり、スタビライザーを置くだけでも音が変わったりとか。
CDよりも音の変化がわかりやすいし作っていく楽しみもありますし。
アナログの場合はグッドレスポンスみたいなところは確実にありますね。
calmさんの2013年2月16日のブログからなんですけど、

「今は楽しようとしたら、どこまでも楽ができる時代。 楽は楽、しかしある程度の苦労をして初めて手に入るというか自分の身になることも多いと思います。」

というところが、すごくCalmさんのアーティストとしての本質だとか、これから音楽を楽しんでいく上でのヒントが、この文章読んで感じました。

本当にさっきの高音質の話もそうですけど、別にその、まあちょっとの違いじゃんって言っちゃえば、もうそれで全部終わっちゃうんですよね。

楽しようと思えば、本当に楽できる時代なんですけど、あえてそれを手を入れて、どこまで楽しむことができるか。そういう体験をどういうところで DJ、アーティストが、そのきっかけ作りみたいなところが、そういう場を作れるのかっていうのは、Calmさんのお話を聞いて、 自分ももうちょっと頑張りたいなっていうのをすごい感じましたし。すごいこの文章は、自分としては、胸に来たところがありましたね。
人間やっぱり、楽できたら楽したいですよね。ただ、ブログに書いたみたいに、楽にして手に入れたものって、意外と愛着がやっぱりないだったり、 覚えてなかったり、そういうのがすごく多いんで、やっぱ苦労する方が最終的に記憶に残ったりするじゃないですか。

そういう意味もあるんですけどね。でもまあ、多分自分の性格上の問題もあると思うんですけど、自分は数学がすごい好きだったんですよ。
学生の頃って。例えば、試験があるとして一番楽な方法って、数学って公式を覚えるということ。例えば、カンペじゃないけどどっかにこう・・・。
書いて。
今回出る範囲やつの公式を書いとくっていう。
まあ、公式を覚えるっていう手もすごく良かったんですけど、どっちかっていうと、自分は公式を覚えないタイプだったんですよ。
記憶力は苦手な方だったので、その公式を全部覚えるのはすごい苦手で、でも、逆を思えば、じゃ、公式は導き出せばいいんだと。勝手に解釈したんですよ。
結局、公式も根本的な理論から形成されてるから、公式ごと理解しちゃえば、その問題も解けるじゃんっていう話ですよね。
そうですよね。なんで、そういうふうに成り立ったのかっていうのさえ把握しとけば、その公式を覚えてなくても 試験中にその公式を導き出せばいいだけであって、そうすると、ここにいく過程っていうのを勉強してるから応用ができるじゃないですか。

この公式しか覚えていないと、この問題しか解けないんですよね。

でも、この公式を用いた応用した他のことってできないじゃないですか。
その公式が、なぜそう成り立ったかを理解しようとする心を大事に思っています。
本質ですよね。要するに。
それはやっぱ暗記より大変じゃないですか。よくよく考えてみると。
でも、自分はたまたまそれが好きだったから、ロジカルっていうか、結構好きだったからやってただけなんですけど。
それが多分、今の活動や考え方に出ているんじゃないかなと思います。
つながった気がします。
だから、楽してできると結構怖いんですよね逆に。
確かに。やった感もないですしね。
あれ大丈夫かな?って思っちゃうタイプなんですよ。
曲とか作ってても、なんかスルっとできちゃうと、あ、早くできたって思うときもあるんですけど、 ちょっと一瞬、あれ、こんなにすぐできていいのかなって思うときもありますし。
時代的に大きな流れですけど、レコード盤があって、CDってメディアが出てきて、デジタルの音楽ファイルっていうメディアが出てきて、一通り体験して、音楽メディアも取りあえず1段階終わったというか、区切りがついたのかなと。 そこまで今たどり着いて、みんな各メディアとかをフラットに見れるように、なってるような時代だと思うんですよね。

そういう意味で、本当に音楽を楽しむことってなんなの?っていう事を皆考え始めている。

その一つとして、先程から何度も言ってますけど、音楽は自由な表現なので、音質を良くするっていう事が全てではないのですけど、ただ、その一つとして、音楽を楽しむという本質的な答えとして、心地いい空間で、心地いい音で音楽を楽しむっていうのは、一つの本質だと思うんですよね。

これから本質的な考えから、またその新しいドンドン川ができてきて、森はボンボンたってというような、で、バーって雨が降って、潤っていくっていうような変化の時代を自分は感じています。
みんな多分求めていると思うんですよ。
ただ、どこにどう求めていいのかが分からないっていう状態に今なっていると思う。

一番ちょっと自分が心配なのは、例えばアナログが、今、戻ってるって言うじゃないですか。
それはまあCDが落ちているから、ちょっと相対数は伸びているような気も見えるんですけど。
CDが落ちた分目立ちますからね。
目立つとは思うんですけど。

でもやっぱり、レコード復活に便乗する大手メーカーとか、こうすれば売れるんだって、ちょっと小銭をもうけようぜみたいなパータンがたまに見受けられます。 そこら辺、メーカー側も、もっと真面目にやるべきだと思います。
レコード出せばいいんだ、と言うんじゃなくて、例えば、さっきチラっと話がありましたけど、マスターのところですよね。
アナログの元のマスター版を切る前のマスターのところからすでにデジタル風味が強かったり。
オリジナルのテープなのか、デジタルデータなのかっていう。でも、デジタルデータからアナログにするのって楽じゃないですか。
もうメーカーが今、持っているし、カッティングエンジニアの人も、レベルとか全部そろえてあるし楽にできるっていうか。
そこから安易にやるメーカーがたくさんいるんですけど。じゃアナログにする必要ない部分もあるのではと思います。
CDで聴けばいいじゃんみたいな。
アナログが伸びてるから商売したいからでしょっていうのが、バレバレじゃないですか。
それだとアナログの良さが伝わらないから、最終的にアナログを買った人が、その音楽の本当の・・・
がっくりきちゃう。
良さが伝わるのかって不安になるんですね。
だったらメーカーが苦労してでもアナログのマスターをちゃんと見つけてきて、そのマスターから愛を込めてアナログにしたもの。
それをお客さんに届けたら、それが値段がいくらとかいう問題じゃなくいいものであれば売れると思うし。
そうですね、凄味が違いますからね。
やっぱ大変だとは思うんで、その目先のお金っていうのももちろん大切だとは思うんですけど。
だから、今は大きな会社ほどフットワークがドンドン無くなってくるんで、大変だと思います。

でも、ドンドン、またさらにその目先のものだけをやっていくと、先細りっていうか自分たちの首を絞めているような気がするんですよね。
やるんだったら、あんたらいい音源いっぱい持ってるんだから、こんなやり方しないで本気でやってくれよって思うんですよ。
なるほどですね。ちょっとオタイレコードも、今後、気合を入れて仕入れて、販売する様にします。
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