DARTHREIDER
ラッパー/MC
1977年4月11日パリで生まれ、幼少期をロンドンで過ごす。
父はニュースステーション(EX)などの解説員も務めた和田俊。
全国東大模試6位の実力で東京大学に入学するも、浪人の時期に目覚めたラップ活動に傾倒し中退。2000年にMICADELICのメンバーとして本格デビューを果たし、注目を集める。
自身のMCバトルの大会主催や講演の他に、日本のヒップホップでは初となるアーティスト主導のインディーズ・レーベルDa.Me.Recordsの設立など、若手ラッパーの育成にも尽力する。
2010年6月、イベントのMCの間に脳梗塞で倒れ、さらに合併症で左目を失明するも、その後は眼帯をトレードマークに復帰。
2012年BSスカパー!「BAZOOKA!!!」内の企画「高校生ラップ選手権」に企画から参加し、第1回放送にレフェリーとして出演。
2014年、漢a.k.a.GAMIが立ち上げた鎖GROUPに入社。
2017年「このまま手を打たなければ5年で死ぬ可能性がある」と宣告されたことを歌った「5years」が話題となった。
2019年には吉田正樹事務所と共同で自身のオリジナル眼帯ブランドである「OGK」を起ち上げた。
現在はThe Bassonsのボーカルの他、司会業や執筆業と様々な活動を積極的に続ける根っからのエンターテイナーとして活躍する。
人前で歌う。物凄い興奮です。実は、この時に食らったエネルギーでいまだにラップをやってる。
19歳、東大受験のために浪人してお茶の水の駿台予備校3号館に通ってました。そこの自習室でラジカセから音を鳴らしてラップしている金ちゃんという人がいたんです。
彼は医者の息子で金持ち、医学部にさえ入れば良いという状態で3浪してるような人なんですけど・・・それが初めて聞くラップでした。
僕はもともと音楽好きでロックからソウル、ブルーズ、ファンクと聴いてたんですが楽器が出来ないし、歌うような柄でもないと思い込んでました。
なので、音楽を演る側になれるとは思ってませんでした。
なので、最初はロッキングオンのようなところでライターがやりたいな、くらいに考えてました。
ところが金ちゃんを見ると、楽譜も要らないし、必要だと思ってた素養が何もなくても音楽が出来る!と気づいたのです。
ちょうどレコ屋がたくさんあるお茶の水にいたので、早速買ったのがライムスター「耳を貸すべき」の12インチとBUDDHA BRAND「黒船」のCDです。
同世代にヒップホップファンは結構居たので彼らから教えてもらってどんどん聴くようになります。
ただ、その年の伝説のイベント「さんピンキャンプ」は「雨で野外なんてありえないっしょ」という理由で行かなかった。翌日、周りがみんな行ってて自慢話を延々聴かされます。うおおお、この欠落を埋めるんだ!とますます知識と情報を集めようとはりきりましたね。
自作の詞を書いてみて、金ちゃんに見せたりしてたら家に誘われました。
医者の息子だけあって自宅にスタジオもあって、最新のレコードもずらり。そこで初めてのラップデモを録ります。曲名は「16番地の殺戮現場」。キングギドラの「地獄絵図」という曲のインストで歌いました。サビは金ちゃんが担当。
勉強中だったのでクラブとかには行きませんでしたが。東大の合格発表があった3月10日、受かってるのを確認してから金ちゃんに電話します。すると、その夜高円寺のドルフィンというクラブでライブするから、一曲歌いに来いよ、と誘われます。早速、夜の高円寺に出かけます。
金ちゃんの時間の一番手に出してもらいました。
人前で歌う。物凄い興奮です。実は、この時に食らったエネルギーでいまだにラップをやってる、とも言えます。
実はこの時、金ちゃんはサビを忘れて入ってこなかったり、とミスだらけなんですが・・全く関係ありません。すごいエネルギーを貰いました。出演者には後にTHINK TANKとなるJUBE君、BABA君、あとB.Dもいました。そして、のちにマイカデリックというグループを一緒にやることになる真田人、さらにはベーソンズやNO拘束のイラストを今でも描いてくれてるモックロックのヨーヘーともこの日に会ってます。全てはあそこから始まりました。
ちなみにその最初の1曲、「16番地の殺戮現場」のデモテープはZEEBRAさんのクルー、URBARIAN GYMのメンバーであるTAK THE RHYMEHEADさんが当時「REMIX」誌でやってた連載「共鳴」でも取り上げられましたね。
最初はとにかく聴いて、真似る。
僕は英語も出来るので英語のラップもとにかく当時の最新のものから昔のものまで聴きまくって真似る。
実は最初は英語で書いてましたが、聴く人がわかんないじゃん、と思い日本語でのライムに挑戦するようになります。
僕が当時真似てたのはREDMAN、METHODMAN、BUSTA RHYMES、KOOL KEITHといったニューヨークのラッパー、そして日本人ではZEEBRAとMUMMY-Dの二人による「末期症状」、BUDDHA BRANDの「FUNKY METHODIST」、SHAKKAZOMBIEの「無限のスペース」などです。
俳優の勝新太郎が芸を身に付ける三段階を語ってます。
「まねる、まねぶ、まなぶ」。
最初はまねる。所作や発声、リズム。表面に現れたものをまねます。
まねぶ、はその型の中身。表現の気持ちや理由を考え、身に着ける。
まなぶ、はその型を離れても自分で表現したものを形に出来るようになる段階です。
僕はいまだにこの考えに基づいて自分の表現を考えています。
「間違い」の存在しない地平にこそ、新しいなにかが訪れる。
20年前のレコーディングではガチガチに練習して固めて臨んでいました。いまは違います。
ひとつの「正解」を決めてしまうと、それが出来ないと全てが「間違い」になってしまいます。僕は「間違い」の存在しない地平にこそ、新しいなにかが訪れると思います。
ゴールやそのゴールに至る経路を決め”過ぎず”に歌ってみるのが良いと思います。初心者向け、という意味では自分の声を知ることです。
自分の頭の中で響く声と録音された声を聴くと違いに気づきます。
何度もレコーディングすれば、自分の声がどういうものかを把握出来るようになると思います。
まずはやってみましょう!
自分はなにをしたいのか?をまずしっかり把握してから、そこを伸ばす。
スキル、という言葉はみなが簡単に使います。
でも、なにが上手いのか?の尺度はたくさんあります。
リズムに合わせるのが上手いのか?
説得力を持たせるのが上手いのか?
言い回しが上手いのか?
声の出し方が上手いのか?
思ってることが表現できるのが上手いのか?
なので、自分はなにをしたいのか?をまずしっかり把握してから、そこを伸ばすことが大事です。
それは他人は全然違う尺度になることもあるので、周りが簡単に言っている「うまい、へた」は一切気にする必要はありません。
エネルギーの塊に飛び込む、熱気に揉まれる体験を。
言葉をリズムに乗せて運んでいく。
こんなに単純なことが物凄いエネルギーを生み出し、世界中を熱狂させています。
そんなエネルギーの塊に飛び込む、熱気に揉まれる体験は素晴らしいと思うのでがんがんやってください!
闘病記「NO拘束」を発売しました。
2010年に脳梗塞で倒れた際の日記とその翌年、両目を一時期失明していた時期の話をまとめています。
「ド派手な病人」がコンセプトです。
ヒップホップ的には病気したことで、病院を「HOOD(地元)」、病人を「HOMIE(地元のつれ)」と考え、病気をREPRESENTするILL(病んだ)ラッパーになる、というストーリーです。
病気や障害はマイナス、迷惑、負のイメージが強いですが、それを通過儀礼として、自分のステージを上げるための考え方を体験を通じて伝えたいと思って書きました。
ヒップホップが逆転現象です。
ベーソンズはドラム、ベース、ヴォーカルのユニットです。
リズムがあればなんでも出来る、リズムが鳴ればどこでも行ける。あらゆるジャンルのリズムを抜き出し、ドラムとベースでファンクとして提示する。その上をコード楽器なしに自由に言葉が舞うバンドです。
今年はリズム&ドラム・マガジンの誌上コンテストの課題曲も提供。
「Bring the Beat」というDMCでもおなじみのフレーズをコンテストテーマにしてくれました。Sportifyなどで音源は配信しています。
8月29日にベーソンズ主催「かっこいい音楽が聴ける日」を下北沢ERAで開催します。
対バン相手はBRAHMANのTOSHIO-LOWさんです。是非、遊びに来てください!
(※2019年7月に掲載した記事です)
情報はSNSでマメに発信してます。
木曜は時事ネタニュースラジオ「うっかり」、金曜はDJオショウとのヒップホップトークラジオ「はぁ~?」をYOUTUBEでやってます。
現場に是非会いに来てください!DMC JAPAN FINALも!
ラップは若いほどいいです。10歳で始めれば二十歳で10年選手。
個人的には二十歳前後が最初のピークだと思います!
自分たちの世代の世界観を是非ビートに乗せて聴かせて欲しいです!
しゃべりは「訪れ」です。なにも考えずに待ち構えていると次々と言葉たちが訪れてきます。
逆に原稿を一字一句間違えずに読もう、とか考えると訪れはなくなります。こうした「構え」が大切だと思います。
いまは世界中のラップにネットで触れることが出来ます。自分が住んでる場所の「何もなさ」を表現することが出来ます。
ただ、都市には人が集まり、熱があります。その熱に引き出される表現もある。なので、どの場所にいてもなにかしらの表現は出来ます。
あとは自分がやりたいことを考えてください。
多くの言葉に触れてみてください。映画、音楽、漫画、街歩き、友達との会話。
言葉とそれに付随するイメージは実はそこら中に溢れています。それに触れていくとなにかがやってくる感覚が研ぎ澄まされると思います。
1991年 CYPRESS HILL「CYPRESS HILL」
1993年 WU-TANG CLAN「ENTER THE WU-TANG」
1996年 YOU THE ROCK★「SOUNDTRACK'96」/DR.OCTAGON「DR.OCTAGONECOLOCYST」
ヒップホップはアウトップットの文化で、これまで存在した全ての音楽の上に成り立っています。ロックもジャズもソウルも全てその一部です。
特に90年代以降は現代音楽も含めてあらゆるジャンルがヒップホップの影響を受け、そしてその影響がまたヒップホップに帰ってきています。
別れる必要はなく、むしろフュージョンしちゃってください!